日曜日の大会で面白い子がいました。
2年位前まで私が見ていた生徒で久しぶりに会うと中学生になっていました。
私が見ていた頃にすでに黒帯になっており心身ともに素晴らしい生徒ですが、しいて言えばただ一つ 身長が少し低いというのがありました。
久しぶりに組手を見たのですが、20センチ位身長差のある相手に上段しか攻撃しないのです。
日頃から先生や親に中段を攻めろと言われているようですし私もその方が勝ちやすいと思ったのですが、上段しか攻めず体が浮いて逆に相手に上段を何本も決められ負けてしまいました。
帰り際にたまたま会ったので話をすると、どうやら「背が低いので中段で攻めろ」と言われるのが嫌らしい。
それで意地でも上段だけで勝とうとしているのです。
技術的に優れている子ですので中段を使えばなんなく勝てたと思うのですが勝ちよりも自分の意地を取ってるのです。
相変わらず魅力的な子だ。
一年に一度の空手大会、目標に向かって練習するという過程をクリアしてみんなが自分の力を発揮できたと思います。
本番までにできる限り力を上げること、本番で全部出すこと この2つができたということは精神的な成長の証だと思います。
結果が良くても調子に乗らず 悪くても落ち込まず 自分は頑張った 頑張らなかったで判断できるようになってほしいです。
もう一つ苦労したのが勝つことが一番になってたことでした。
一時間の稽古時間で準備運動の時間や休憩も取りますので稽古初めの 気をつけ 正座 黙想 礼 を一瞬で終わらせ、ふざける生徒を注意する時間ももったいないし、考えさせたり工夫させたりするよりもこれをやってとやらせた方が早く上手くなります。
それではいけないと思い 気をつけができるまで次に進まない、正座の時の手の位置、背中と頭、礼の仕方、黙想の時間を一分間取る、空手と関係ないことをしゃべる子は必ず注意する、何のために空手をやってるかを聞く、話す、自分達で号令をかける、並ぶなどを徹底すると一時間のうち半分も稽古の時間が取れないということもありました。
体を動かしている時間が少ないので必然的に他と比べて上達のスピードが遅くなりましたが、数年たってやっとそれらが当たり前にできるようになり、今では少ない時間を有効に使おうと何でも自主的にやるようになりました。
それにともない大会に出て入賞する子も多くなり、「勝ち」にいかない事が結果的に勝つことに繋がった思います。
競技者としての力を上げるには精神の成長が不可欠だとも思いますのでこれからも「心の成長のための空手」をやっていきたいと思います。
今まではせめて私が関わった子供たちだけでもと思ってやっていましたが、今後は結果も出して回りに広めていきたいと思います。