
久しぶりにクラシックコンサートへ行ってきました。
会場へ入ると、洗練された空気が漂っており、観客も「ショパンが好きです。」という品のある方ばかり。
すると、私の隣の席に60代くらいの品格あふれるご夫婦が静かに座った。
紳士淑女という言葉が似合う。
開演前、紳士が奥方にオーケストラの楽器について熱心に解説されている。さすがだ。
そしてコンサートが始まると、、、速攻寝た。
最初の曲は『くるみ割り人形』。さすがの東京フィルハーモニー。
演奏が終わると、会場中が拍手と「ブラボー!」という歓声に包まれた。
すると、その歓声で隣の紳士が目を覚まし、突然「ブラボー!」と叫んだ。
え~~~いやいやいやいや!まじか!まじか!
素晴らしいという顔をして、軽くうなずきながら大きな拍手をしている。
もしかして、目を閉じて聴いていただけなのか。そうでなければこんな悦に入った顔で拍手なんてできない。
次の曲はチェロの協奏曲で、演者が準備をしている間も紳士は音楽について熱く語っている。
「音楽に正解はない。」「五感ではなく六感で感じる。」「音楽の楽しみ方は人それぞれ。」名言を連発する。
そして2曲目が始まった。
寝た。
いや、きっと寝てるようで寝ていない。目を閉じて耳を澄まして聴いているのだ……。
曲も終盤に入り、トランペットか何かの高音で鋭い音が大きく響いた瞬間、紳士が「ビクッ!」となった。
寝てたよね!ビクッ!ってなったよね。
ハッとしたした紳士は、再び目を閉じると、体でリズムを取り出した。
いやいやいや!ずっと目を閉じて体全体で聴いてたんだよ。じゃねぇんだよ!
そして二曲目が終わる。
「ブラボー!」
ブラボーじゃねぇんだよ!寝起きにブラボーじゃねぇんだよ!
三曲目、最後の曲は『ピアノ協奏曲第1番』。
あの重厚な出だしね。これは生で聴くとまじで心が震えた。音楽は生で聴くものだというのが分かる。
これ聴いてさすがに寝れないだろ。
寝た~!
そして曲が終わる。歓声が起こる。そして目を覚ます。
はい、どうぞ。
「ブラボー!」
嘘つけ~!
帰り道、「音楽の楽しみ方は人それぞれ。」「音楽に正解はない。」「五感ではなく六感で感じる。」という紳士の言葉が腑に落ちた。
