五輪書 地之巻3


一 兵法の道を大工に例えること

兵法を大工の道に例えると、大将は、大工の棟梁として天下国家の「ものさし」(価値判断の尺度)をわきまえ、領国の法を正し、先祖代々の家訓を遵守することが重要で、これが「棟梁の道」ということになる。

大将としての本質という点では、大工の棟梁も武士の棟梁も全く変わりがない。
棟梁が大工を上手く使うコツは、彼らの職人としての腕が「上・中・下」のどれに属するかを把握し、それぞれのレベルに応じて、ある者は床の間、ある者は戸・障子、またある者は敷居・鴨居・天井といった具合に大工を使い分けることだ。
腕が悪いと判断したら、床板の下に横木を張る仕事をさせ、もっと腕が劣る大工にはくさびを削らせるといった按配である。
このように、各人の能力に応じた的確な人材配置を行えば、おのずと作業効率は上がり、手際よくいくものである。

建築現場での作業効率、手際の良さといった点、ささいなことでも揺るがせにしない姿勢、使いみちを知るということ、意欲の高・中・低を判断すること、勢いをつけさせること、限度・限界をわきまえることなど。

兵法の道理とは、そういうものなのだ。

 

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