ー 兵法で武具の長所を知るという事
合戦用の武具は、どんなものでも戦う場所や状況に応じて、その武具の持つ利点を心得た使い方をしないと威力を発揮できない。
脇差は、狭い場所など敵との距離が接近している場面で有利なことが多い。
太刀は、どんな場所の勝負でも、だいたい有利である。
薙刀は、戦場では槍に劣るところがある。
槍が先手なのに対して、薙刀は後手に回るからだ。
槍・薙刀は戦場で威力を発揮する武具として合戦上では重要だが、共に狭いところでは利点が少ない。
弓は、合戦上における軍勢の進退状況にもよるが、槍隊その他の諸隊との連係動作の点で初動が容易であり、特に平地での合戦に有利である。
しかし、城攻めとか、敵との距離が三十六メートルを超えているようなケースでは役に立たない。
弓をはじめとする武芸は、見た目には百花繚乱だが、実践には無理である。
城内では、鉄砲の右に出る武具はない。
しかし、いったん合戦に突入すれば不適である。
弓の威徳の一つは、放った矢を目で確認できる点だ。
これに対し、鉄砲の弾丸は目に見えないところが物足りない。このことをよく心してもらいたい。
武具は、偏った好みで選んではいけない。
過剰であることは不足していることと同義である。
決して人真似をせず、自分自身の信念に沿い、自分の体にぴったり合って違和感のないものが一番である。
将・兵を問わず、好き嫌いだけで武具を選ぶのは良くない。
この事を胸に強く刻んでおくことだ。