五輪書 火之巻18


ー 三つの声ということ

「三つの声」は、「初・中・後の声」といって、三種類に分かれている。場面に応じた「掛け声」のことである。

掛け声は、威勢のよさを示すためであるから、火事などでもかけるし、風や波に向かってもかけるのである。声はこちらの勢力の誇示である。

大勢の合戦では、戦いの最初の掛け声は、嵩にかかって相手を威圧するように「エイッ!」と声を上げ、戦いの最中には腹の底から「ヤッ!」と低いトーンの声を出し、 勝った直後には「トウ!」と強く大きな声を発する。
これが三つの声である。

また、一対一の勝負の場合は、敵の動きを誘うためには、打つと見せかけて、初めに「エイッ!」と掛け声を発し、その声を追うように太刀を打ち出すのである。そのほか、敵を打ち倒した後の掛け声、勝利を告げる掛け声もある。
この二つを「先後の声」という。それらは、太刀を打つ先か後かの違いがあるだけで、太刀を打つのと同時に掛け声を出すことはないのである。
もし、戦いの中でかけるのなら、その目的は拍子に乗るためであるから、低くかける。

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