今回は両親もいました。
両親は毎年妹の子供の誕生日に合わせて来るので珍しいことではないのだが、今年は誕生日ではなく、小学校最後の運動会ということで、運動会に合わせて来たようだ。
それに合わせて私も妹のとこへ行ってきた。
早速いつものように封筒に入ったお金を子供にあげると、ソッコーで中身を見てヘヘッと笑って、雑にテーブルの上に投げ置いた。
そして前回と同じく、「あゆむ、私の部屋を見て!」と言ってきた。
私は興味がないので断ったが、「いいから見て!」と押しが強いので、しょうがなく部屋を見に行くと、やっぱりまあまあ散らかっている。
私が部屋を見渡していると、どうだと言わんばかりにヘヘッと笑っている。
何がどうだなのか分からんが、とりあえずセンスいいねと褒めると、ヘヘッと笑って部屋を出ていった。
私を置いて部屋を出ていった。
自分の中で何か完結したようだ。
まあいつものことだし、子供だし、全く気にならなかったが、今回は思わぬ、新しい客人達が思いがけぬキツかった。
部屋から戻ると、私の父が子供に向かって、「歩は昨日仕事で運動会に来れなかったから、昨日やったポンポンの応援を見せてあげて」と言った。
子供は応援団長か何かで、一番前で特大のポンポンを使って応援の指揮を取っていたので、それを歩に見せてあげてというのだ。
いやいや、ここでやることじゃないだろ。
誰も競技をしていない家の中で誰を応援するのだ。
この状況でポンポンを使ってフレーフレーあ・か・ぐ・みっ!とかやったら絶対寒い状況になるだろ。
私はいいよやらなくてと言ったし、子供もここではできないよと言ったのだが、母も入ってきて「そうよ、やってあげて!」と言ってきた。
自分が見たいのだ。
何て言うか、脳が退化している。
6年生の女の子に平日の夜にオジの前で無音でポンポンを使って存在しない紅組を応援するのを見せてって、これ拷問だろ。
新手の児童虐待じゃないか。
平日の夜にオジの前で無音でポンポンを使って存在しない紅組を応援させて地獄の寒さを体験させた罪。
子供はしょうがなく、平日の夜にオジの前で無音でポンポンを使って紅組を応援した。
「フレ〜フレ〜あ・か・ぐ・みっ!」
案の定寒い。
かなり寒い。
それでも祖父と祖母を喜ばす為に一生懸命やってる子供を見て、始めていい子に育ってるんだなと思った。
応援が終わって、地獄から解放されたと思ったら、父が今度はソーラン節もやってと言ってきた。
今の寒さを感じていなかったのか・・・。
もうやめさせてあげて・・・。
ソーラン節の激しい動きを月曜の夜にリビングでオジの前で無音で踊るなんて・・・。
地獄絵図になる・・・。
私は久しぶりに悪い汗がでてきた。
子供は突然腰を落とした。
そして手と頭を奇妙に動かし始めた。
そして手をクルクルして体をすり上げた。
そして何もない何かを引っ張っている。
何をしているんだ・・・。
校庭でやると格好良いかもしれないが、あいにくここはリビングなのだ。
にもかかわらず久しぶりに会った祖父母を喜ばせる為に子供は一生懸命踊った!
私はちょっと感動した!
何ていい子に育ってるんだ!
だが・・・
やっぱり寒くなってる!
凄い事になってる!!
寒すぎる・・・。
寒すぎる・・・。
寒すぎる・・・。
ア〜〜〜私なら絶対嫌だ!
寒いか臭いかなら、臭いを取る。
それくらい私は寒いのが嫌だ。
寒い現場に居合わせるのも嫌だ。
私の全身の汗が止まらない。
そこへ妹から衝撃の一言が!
「声も出して!」
嘘でしょ妹。
妹もこの寒さに気付いていないのか!?
妹はこっち側だと思っていたが、あっち側だった。
子供は一瞬固まったが、暫くの間のあと、
ソ~ランソ~ラン言い出した。
月曜の夜にリビングで一人でソ~ランソ~ラン言ってる。
大丈夫か。
ハイ!ハイ!
全力で声を出してる。
全力で踊ってる。
月曜の19時にリビングでオジの前で無音で全力でソーラン節を踊る6年生の女の子。
流石に耐えきれなくなったのか、子供はちょっと待ってと言って、部屋からスマホを持ってきてソーラン節の音楽を流した。
そして全力で踊った。
一曲踊り終わると皆軽く拍手をした。
割に合わない。
今後どんなに辛いことがあっても、この事を思い出せば全て乗り越えられると思う。
それから暫くして子供が、あゆむオセロしようと言ってきた。
子供はオセロを覚えたようだ。
オセロなんて小学校以来だと思うが、オセロとか将棋とか、そういうのは結構得意だったので私も楽しみだ。
やってみるとやはり結構筋を覚えてて、序盤で私が圧勝している。
すると母が私に小声で負けてあげてと言った。
私はきっぱり断った。
いつも通り私は負けるのが絶対嫌なのだ。
負けると負け癖がつく。
今子供に負けてあげるとかの問題じゃなくて、私の心にも勝運にも影響を与える。
前回初めて子供に相撲で負けてしまったが、今まで約10年間全部本気でやってきて、通算100勝1敗くらいだ。
どんな小さなことでも負けてはいけないのだ。
私は普段ジャンケンもやらない。
ジャンケンは負ける可能性があるので、ジャンケンで何かを決めるとなったら断る。
体育館の予約で、時々同じ時間の予約が重なってくじ引きになることがあるのだが、昨年の戦績は11勝1敗だ。
箱の中から一番少ない数が書かれたボールを引いた人の勝ちというものだが、
どんな心理状態で、どの手で引いて、指先の感覚に集中して、どの辺りにあるボールを引くというのが決まっている。
くじも負ける確率があるのでやりたくないが、これはやるしかないのでやるしかない。
負けた時はその場で次回勝つための戦略を考える。
因みにジャンケンは8割くらい勝つ。
それでも2割も負けるジャンケンはやらない。
ということで全力で勝ちにいった。
全て黒にしてギブアップさせるくらいに容赦無く勝ちにいった。
10分後、完敗してた。