最近、といっても大分前からだと思いますが、左右の手を離して柄を握る握り方が剣術や居合いの人たちの間で流行っているようです。
古流流派は当然左右を離して持ちます。
付けて持つようになった理由として実際に人と戦うことがなくなったことが考えられます。
相手の抵抗を受けない稽古の中で、できるだけ早く動くことを追求しての結果だと思います。
両手を付けると支店が一つになり、遠心力も慣性力も効果的に使えて切っ先も走りやすくなります。
ただ、実際に戦うことを考えると型稽古にはない様々な攻撃に対処できなければなりません。
手の力ではなく体を使って刀を扱うということかもしれませんが、体を使って刀を扱うというのは当たり前で、その上で柄の長い日本刀の構造を最大限に活用するということです。
日本刀の柄が長いというのはちゃんと理由があってのことだと思います。
敵の抵抗のない状況だと、野球やゴルフのスイングのように自分の振りの速さと強さを追求できますが、実際に本気で自分を倒しにくる相手と戦うためには左右の感覚を広げて支点を二つ作り、振ったり、止めたり、突いたり自由に正確にコントロールすることが大切になります。
一か八か突っ込んでいく戦い方だといつかは負けます。
14勝1敗だと相撲では優勝できますが、真剣勝負だと命を落とします。
いかに隙を作らないか、負ける確率を少なくしていくかが剣術、戦闘術です。