第1章 ヨガの目的等について。
第2章 練習法について。
第3章 瞑想について。
第4章 ヨガの境地について。
1ー1
これからヨガを説明します。
・アタッという音は聖音オームと同じように宇宙が生まれた時の最初の音。
1ー2
ヨガとは心を静かにすることです。
・心は何もしなければどこまでも流れ、刺激があれば惹き付けられる。
今に集中することで激しい感情や過去や未来に流れなくなる。
1ー3
そうすると心を観る存在である本当の自分に至ります。
・心は外の対象に向かって動き回るので、対象を意識の源である真我に向け穏やかに保つ。聖典はアートマン(真我)という言葉で示す。
1ー4
そうしないと動き回る心と自分を混同してしまいます。
・自分自身でいることで絶望したり暗くなったり、怒りや悲しみで落ち込んでしまうことがなくなる。
1ー5
ヴルッティ(考え)は、5つの種類があります。クリシュタ(苦悩になる考え)とアクリシュタ(苦悩にならない考え)です。
・クリシュタ(楽しい、前向き、閃き等。)
アクリシュタ(苦悩、恐れ、嫉妬等。)
1ー6
ヴルッティは知覚、間違い、想像、眠り、記憶の5つの動きがあります。
1ー7 知覚
知覚、推測、聖典が正しい知識のためのプロセスです。
・五感で知り認識するのが知覚。
五感の情報をもとに推測して分かるのが推測。
人間が知ることができない範囲にある知識を伝えるのが聖典。
1ー8 間違い
間違いは、主観で決めつけたことが原因となります。
・人が苦しんでいることは殆どが未来への不安や想像等、実態のない主観的な思い込み。
1ー9 想像
言葉では言うけど実態のないものが想像です。
・真実を知らない無知の上に想像した自分の主観が不安を生む。
1ー10 眠り
特別な認識がない、タマス(鈍性)に基づいたヴルッティが眠りです。
・深い眠りの状態で、夢を見ている浅い眠りは含まれない。
1ー11 記憶
過去の経験が忘れずに残っていることを記憶と言います。
・間違った記憶や結論を聖典や経験で正しく改めることを心を浄化すると言う。
1ー12
苦悩を持たらす考えを見極めて苦悩に繋がらない考えを知り、瞑想を繰り返し実践することによって心を静かにすることができます。
1ー13
5つの考えを意識してコントロールする努力を繰り返し続けます。
1ー14
ヨガの教えが自分の自然な習慣になるまで途切れることなく続けます。
・自然になるまでには意識的な努力が必要。
1ー15
五感で感じたことや、人から聞いたり本で読んだ事にもとらわれず欲のない心の状態をヴァイラーギャ(見極めの心)と言います。
・物や人に対して客観的にあるがままを受け止める。
物を持っていても物に心を奪われることなく、誰といてもコントロールされることがない。
1ー16
完全な見極めは自分自身の真実を理解することです。
そうするとどんなものからも自由になります。
1ー17
体、感覚、心、自分自身という順番に従って分析を深めることによって自分自身をはっきり理解します。
・サンプラッニャータ(真実を分析する)瞑想によって自分を理解することができる。
1ー18
静寂の源である自分自身を分析する瞑想(サンプラッニャータ瞑想)を繰り返し練習したあとも、過去のカルマの記憶は残ります。
・瞑想は輪廻から人を解放にすることが目的ではなく、あくまで心を静めるための練習です。
1ー19
生まれつき深い瞑想ができるのが天使や自然界の神々です。
1ー20
誠実に熱心に継続して瞑想をすることによってそれ以外の人たちもサマーディに至ることができます。
1ー21
集中して繰り返し練習すれば程よい早さでサマーディに近づきます。
1ー22
サマーディに至る早さは練習の熱心さによります。
1ー23
自然界を動かし続けている摂理を理解することでもサマーディーを達成できます。
・小さな自我や苦悩を作り出す自我意識を大きな摂理に開け放つ。
1ー24
行いと結果に縛られない存在がイーシュヴァラ(自然の摂理)です。
・イーシュヴァラと私達個人はどちらも意識の根源プルシャ。
1ー25
イーシュヴァラとは何とも比べることができない、全知全能の存在です。
・自然の法則をまとめ動かし、自然界の神々を統率する存在、自然界そのものの現れ。
1ー26
イーシュヴァラは生物が現れる前から存在し、時間によって制限されることがない真実を明かす存在です。
・世界が現れる前前から存在し、今世界を動かし、全生物の体に心に花に虫に無数の星星の中に満ちている命の根源で、私達の命を支え、未来を創り出す存在。
1ー27
イーシュヴァラの呼び名が聖音オームです。
・オームという音は、起きている世界のア、夢の世界のウ、熟睡している状態のムの3つの音で、私達が体験できる3つの次元を現す。
1ー28
音を繰り返し、音の意味に瞑想することをジャバ瞑想と言います。
・オームの他に様々なマントラを使うことができるが、どのマントラもオームから始まる。
オームの意味を理解し繰り返すことで自分の真実に至るといわれる。
1ー29
ジャバ瞑想によって理解を邪魔するものが消え、真実を知ることができます。
1ー30
ヨガの達成を邪魔する9つの原因があります。
1、心と体の病、良いコンディションでないこと。
2、心が冴えないこと。
3、不信感があること。
4、集中できないこと。
5、怠惰なこと。
6、イライラを解消するために物へ執着すること。
7、間違った考えや価値観を持つこと。
8、達成感がないこと。
9、継続できないこと。
・聖音オームを繰り返すことでこれらを取り除くことができる。
1ー31
9つの症状からさらに4つの心と体の症状が起こります。
1、悩み苦しみ。
2、落ち込み。
3、体の動揺。
4、呼吸の不安定。
・5つの心の苦しみから9つの苦悩が起こり、4つの心と体の症状が起こる。
1ー32
これらの症状を取り除くには、1つの真実に心を繋ぎ止める瞑想を繰り返し練習することです。
・イーシュヴァラに心を繋ぎ止めるジャバ瞑想をする。
1ー33
1優しさ、2慈悲、3ゆとり、4冷静を持ち、5快不快、6徳不徳等の両極端な状況に動揺しない落ち着きを養うことで、心を磨くことができます。
・心が嫉妬や悲しみで染まっても、心の動きに気付き、思いを整えることが心を磨く実践法となる。
1ー34
心の落ち着きは呼吸の調節によっても可能です。
・難しいテクニックを用いなくても呼吸をゆっくり行うことで心と体を整えることができる。
1ー35
一つの対象に心を定め、集中することで心の穏やかさをもたらします。
・インドで瞑想の際、用いられるのがヴェーダに記されるマントラ。マン(考える)トラ(道具)。
形、色、絵、でもできる。
1ー36
また、意識の源、本当の自分でいることでも穏やかな心でいられます。
・本当の自分は心ではない。心は道具として自分の意志のもとに収めることができる。心を扱う者が本当の自分自身である。
・ジョーティシュマティー(意識の源)は、ブラフマン(普遍の存在)、アートマン(真我)、プルシャ(人間の真実)という言葉でも呼ばれる。
1ー37
こだわりを手放し、欲望の対象から自由になることでも穏やかな心でいられます。
・欲望に心がとらわれず執着するとき心は不安、恐れ、悲しみ、怒り等で忙しくなる。
1ー38
夢を見ている時、熟睡している時、起きてる時の意識の源を知ることによって穏やかな心でいられます。
1ー39
心が惹かれる対象に瞑想することでも穏やかな心でいられます。
・物の限界を知ることができる。
1ー40
目に見えない小さなものから限りなく大きいものまで真実を見極めることによって心が静かになります。
・考えや感情で歪めずにそのまま観る。
1ー41
考えが静まるとき、自分自身は水晶のように透明で、対象を映しながらも対象を知る人、知る考え、知られる物に影響されない瞑想状態になります。
・瞑想は真実を見ることから心を遠ざけるような考えを静めること。はっきりと自分自身の姿を明らかにする行い。
1ー42
認識できる物を分析する瞑想をサヴィタルカサマーディ(見えるものを分析する瞑想)と言います。
・自分と物の違いを冷静に分析することで執着や悩み苦しみから開放される。サンプラッラニャータ瞑想の第一段階。
1ー43
記憶が正しく改められた時、考えの対象がなくなり意識の源がはっきりします。
これをニルヴィタルカサマーディ(分析を終えたあとの瞑想)と言います。
・自分に関する間違った記憶が改められる時、考えに映る対象はまるで消えたように静まります。考えとは意識です。意識は意識の源である私の存在から現れます。そのことが分かる時、考えは1つの存在である意識の源に収まります。サンプラッラニャータ瞑想の第二段階。
1ー44
同じように、心や感覚という目に見えない物について分析する瞑想(サヴィチャーラー)と、その分析を終えた瞑想(ニルヴィチャーラー)があります。
・考えとは意識です。意識は意識の源の存在から生まれる。
・目に見えない感覚や考えと自分の真実についての違いを見極める。
1ー45
目に見えないものは、名前と形をもって現れていない潜在的な状態にあるものです。
・本当の自分を知るために目に見えない物の真実を見極める瞑想がヴィチャーラサマーパッティ(見えない物の分析をする瞑想)です。
1ー46
これら4つの段階の瞑想はサビージャサマーディ(苦悩の原因がまだある段階の瞑想)と呼ばれます。
サビージャサマーディから1段階深めた瞑想がニルビージャサマーディ(苦悩の種から自由になる瞑想)です。
1ー47
ニルヴィチャーラ(見えない物の分析を終えた瞑想)までの4段階の瞑想が終わり、理解することができたとき、心は澄みわたります。
・本当の自分をはっきり理解することができる。
1ー48
それを正しく理解した時、真実が理解できます。
・真実の知識は初めから私たちの中にあり、真実の知識を覆う無知を取り除くことによって現れる。
1ー49
それは聞いただけの知識、感覚や情報とは全く違います。この世で知るべき唯一の知恵です。
・ブラフマン(普遍の存在)が自分自身(アートマン)であると知ることは世界の全てを知ることになる。
真実の知識だけが人を苦悩から解放する。
1ー50
真実の理解は、潜在的な過去の自分を打ち負かす強い力となります。
・今現れている感情や悩みにも負けない抵抗力となる。
1ー51
真実の知恵すら静まり、全ての考えが静寂に包まれることによって、ニルビージャサマーディ(苦悩の原因すらない解放)にどんな時もい続けることができます。
・心は無数の物事を映しながらも自分自身は変わらぬ静寂のままでいる。