コラム一覧

ヨーガスートラ


2〜5世紀にパタンジャリさんによって書かれたヨガの取扱説明書とも言われる本です。

1章は、ヨガの目的等について。
2章は、練習法について。
3章は、瞑想について。
4章は、ヨガの境地について。

1章
1ー1
これからヨガを説明します。
・アタッという音は聖音オームと同じように宇宙が生まれた時の最初の音。

1ー2
ヨガとは心を静かにすることです。
・心は何もしなければどこまでも流れ、刺激があれば惹き付けられる。
今に集中することで激しい感情や過去や未来に流れなくなる。

1ー3
そうすると心を観る存在である本当の自分に至る。
・心は外の対象に向かって動き回るので、対象を意識の源である真我に向け穏やかに保つ。

1ー4
そうしないと動き回る心と自分を混同してしまう。
・自分自身でいることで絶望したり暗くなったり怒りや悲しみで擦り切れてしまうことがなくなる。

1ー5
考え(ヴルッティ)は、5つの種類があります。苦悩になる考え(クリシュタ)と苦悩にならない考え(アクリシュタ)です。
・クリシュタ(楽しい、前向き、閃き等。)
アクリシュタ(苦悩、恐れ、嫉妬等。)

1ー6
心には知覚、間違い、想像、眠り、記憶の5つの動きがある。

1ー7
知覚、推測、聖典が正しい知識のための道具です。

1ー8
間違いは、主観で決めつけたことが原因となる。
・人が苦しんでいることは殆どが未来への不安や想像等、実態のない主観的な思い込み。

1ー9
言葉では言うけど実態のないものが想像です。
・真実を知らない無知の上に想像した自分の主観が不安を生む。

1ー10
特別な考えが浮かんでいない状態が眠りです。
・夢を見ている浅い眠りは含まれない。

1ー11
過去の経験が忘れずに残っていることを記憶と言います。
・間違った記憶や結論を聖典や経験で正しく改めることを心を浄化すると言う。

1ー12
苦悩を持たらす考えを見極めて苦悩に繋がらない考えを知り、瞑想を繰り返し実践することによって心を静かにすることができる。

1ー13
5つの考えを意識してコントロールする努力を繰り返し続ける。

1ー14
ヨガの教えが自分の自然な習慣になるまで途切れることなく続ける。

1ー15
五感で感じたことや、人から聞いたり本で読んだ事にもとらわれず欲のない心の状態をヴァイラーギャ(見極めの心)と言います。
・物や人に対して客観的にあるがままを受け止める。
物を持っていても物に心を奪われることなく、誰といてもコントロールされることがない。

1ー16
完全な見極めは自分自身の真実を理解することです。
そうするとどんなものからも自由になります。
・自分自身の上に全てが変わり動く。

1ー17
体、感覚、心、自分自身という順番に従って分析を深めることによって自分自身をはっきり理解する。
・サンプラッニャータ(真実を分析する)瞑想によって自分を理解することができる。

1ー18
サンプラッニャータ瞑想のあとも、過去のカルマの記憶は残ります。
・瞑想は輪廻から人を自由にすることが目的ではなく、あくまで心を静めるための練習です。

1ー19
生まれつき深い瞑想ができるのが天使や自然界の神々。

1ー20
誠実に熱心に継続して瞑想をすることによってそれ以外の人たちもサマーディに至ることができる。

1ー21集中して繰り返し練習すれば程よい早さでサマーディに近づきます。

1ー22
サマーディに至る早さは練習の熱心さによる。

1ー23
自然界を動かし続けている摂理を理解することでもサマーディーを達成できる。
・小さな自我や苦悩を作り出す自我意識を大きな摂理に開け放つ。

1ー24
行いと結果に縛られない存在がイーシュヴァラです。

1ー25
イーシュヴァラとは何とも比べることができない、全知全能の存在です。
・自然の法則をまとめ動かし、自然界の神々を統率する存在、自然界そのものの現れ。

1ー26
イーシュヴァラは生物が現れる前から存在し、時間によって制限されることがない真実を明かす存在です。
・世界を動かし、私達の命を支え、未来を創り出す存在。

1ー27
イーシュヴァラ(自然の摂理)の呼び名が聖音オーム。
・オームという音は、起きている世界のア、夢の世界のウ、熟睡している状態のムの3つの音で、私達が体験できる3つの次元を現す。
プラナヴァ(宇宙の最初の音)。

1ー28
音を繰り返し、音の意味に瞑想することをジャバ瞑想という。
・オームの他に様々なマントラを使うことができるが、どのマントラもオームから始まる。
オームの意味を理解し繰り返すことで自分の真実に至るといわれる。

1ー29
ジャバ瞑想によって理解を邪魔するものが消え、真実を知ることができる。

1ー30
ヨガの達成を邪魔する9つの原因がある。
1、心と体の病、良いコンディションでないこと。
2、心が冴えないこと。
3、不信感があること。
4、集中できないこと。
5、怠惰なこと。
6、イライラを解消するために物へ執着すること。
7、迷い困惑すること。
8、達成感がないこと。
9、継続できないこと。
・聖音オームを繰り返すことでこれらを取り除くことができる。

1ー31
9つの症状からさらに4つの心と体の症状が起こる。
1、悩み苦しみ。
2、落ち込み。
3、体の動揺。
4、呼吸の不安定。

1ー32
これらの症状を取り除くには繰り返し瞑想を練習することです。

1ー33
1優しさ、2慈悲、3ゆとり、4冷静を持ち、5快不快、6徳不徳等の両極端な状況に動揺しない落ち着きを養うことで、知性を磨くことができる。
・心が嫉妬や悲しみで染まっても、心の動きに気付き、思いを整えることが心を磨く実践法となる。

1ー34
心の落ち着きは呼吸の調節によっても可能です。
・難しいテクニックを用いなくても呼吸をゆっくり行うことで心と体を整えることができる。

1ー35
一つの対象に心を定め、集中することで心の穏やかさをもたらす。
・インドで瞑想の際、用いられるのがヴェーダに記されるマントラ。マン(考える)トラ(道具)。
形、色、絵、でもできる。

1ー36
意識の源の本当の自分でいると穏やかな心でいられる。

1ー37
こだわりを手放し、欲望の対象から自由になることでも穏やかな心でいられる。
・欲望に心がとらわれず執着するとき心は不安、恐れ、悲しみ、怒り等で忙しくなる。

1ー38
夢を見ている時、熟睡している時、起きてる時の意識の源を知ることによって穏やかな心でいられる。

1ー39
心が惹かれる対象に瞑想することでも穏やかな心でいられる。
・物の限界を知ることができる。

1ー40
目に見えない小さなものから限りなく大きいものまで真実を見極めることによって心が静かになる。
・考えや感情で歪めずにそのまま観る。

1ー41
考えが静まるとき、自分は水晶のように透明で、対象を映しながらもどんな色にも染まらない状態になる。
・瞑想は真実を見ることから心を遠ざけるような考えを静めること。

1ー42
認識できる物を分析する瞑想をサヴィタルカー サマーバッティヒ(見えるものを分析する瞑想)と言います。
・サンプラッラニャータ瞑想の第一段階。

1ー43
記憶が正しく改められた時、考えの対象がなくなり、意識の源がはっきりします。
これをニルヴィタルカ サマーディ(分析を終えたあとの瞑想)と言います。
・目に見える物と自分の真実についての違いを見極める。

1ー44
同じように、心や感覚という目に見えない物について分析する瞑想(サヴィチャーラー)と(ニルヴィチャーラー)その分析を終えた瞑想があります。
・考えとは意識です。意識は意識の源の存在から生まれる。
考えは意識の源に収まる。
・目に見えない感覚や考えと自分の真実についての違いを見極める。

1ー45
目に見えないものは、名前と形をもって現れていない潜在的な状態にあるものです。
・本当の自分を知るために目に見えない物の真実を見極める瞑想がヴィチャーラ瞑想です。

1ー46
これら4つの段階の瞑想はサビージャ瞑想(苦悩の原因がまだある段階の瞑想)と呼ばれます。
サビージャ瞑想から1段階深めた瞑想がニルビージャサマーディ(苦悩の種から自由になる瞑想)です。

1ー47
ニルヴィチャーラ(分析を終えた瞑想)までの4段階の瞑想が終わり、心を収めることができたとき、心は澄みわたります。
・本当の自分をはっきり理解することができる。

1ー48
その時、真実の知識が理解できます。
・真実の知識は初めから私たちの中にあり、真実の知識を覆う無知を取り除くことによって現れる。

1ー49
聞いただけの知識、感覚や情報とは全く違います。この世で知るべき唯一の知恵です。
・真実の知識だけが人を苦悩から解放する。

1ー50
真実の理解は、潜在的な過去の自分を打ち負かす強い力となります。
・今現れている感情や悩みにも負けない抵抗力となる。

1ー51
真実の知恵すら静まり、全ての考えが静寂に包まれることによってニルビージャサマーディ(苦悩の原因すらない解放)
・心は無数の物事を映しながらも自分自身は変わらぬ静寂のままでいる。

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