2ー1
タパス(自己規律)、ソヴァーディヤーヤ(自分について学び知ること)、イーシュヴァラプラニダーナ(自然の摂理を知ること)、この3つがクリヤーヨーガ(生き方をヨガにすること)です。
・タパス(仕事をすること、精神的な修行をすること、話すこと、食べること、ヨガの練習を無理せず規律正しいリズムで続けること)
・ソヴァーディヤーヤ(ヨガの聖典を読むことや感性に響くものに触れ、感度を上げることで自分を知る準備ができる)
・イーシュヴァラプラニダーナ(自然の秩序の中に人間の活動も組み込まれている事を知り、調和させること)
2ー2
クリヤーヨーガ(生き方のヨーガ)が、サマーディをもたらし、クレーシャ(ヨガの障害)を最小限にします。
・普段の行いを正すことで心の曇を晴らし、サマーディを達成することができる。
2ー3
無知、自意識の高さ、欲望、嫌悪、死への恐れ、この5つが心を悩ませる苦悩の原因となるウルッディ(考えの動き)です。
・クリヤーヨーガと瞑想で解決できる。
2ー4
無知が他の4つの苦悩の原因です。
それぞれの苦悩は4段階あります。
1プラスプタ(潜在的な状態)
2タヌ(意思で収められた状態)
3ヴィッチンナ(内に抱えている状態)
4ウダーラ(表面化した状態)
・自分の真実を知り、常に心の状態に気付き、クリヤーヨーガ(日常をヨガにすること)で解決することができる。
・苦悩を押し殺すのではなく、上手に心から出して解決していく。全ての悩みに万能的な解決法となるのがクリヤーヨーガ。
2ー5 無知
変化するもの、汚れるもの、苦痛、真実ではないものに、変化せず清浄で幸せで変わることがない真実の自分を重ねてしまうことが無知です。
・全ての苦悩の原因は、自分を知らないという無知にある
2ー6 自意識
観る存在と観る力を同一化してしまうことがアスミター(自意識)です。
・同一化してしまうことで自意識、考え、そして苦悩が生まれる。
2ー7 欲望
喜び、楽しみを強く望み、執着することがラーガです。
・執着が罪や嘘を生み出してしまうことがある。
2ー8 嫌悪
苦しみの対象に心をとらわれていることがドヴェーシャです。
・起こった出来事に、辛い、悲しい、嫌だ、恥ずかしい、怖いなどの主観的な思いを乗せない。
2ー9 死への恐れ
生物が本質的に持ち、賢者さえ同じように持っている根深い恐れがアビニヴェーシャ(死への恐れ)です。
・生物は今日まで様々な生死を繰り返し、多くの恐怖を体験してきたので、それらが潜在的な記憶となり、死への恐れをもたらす。
2ー10
5つの苦悩の原因は、表面に現れる前の潜在的な段階で取り除きます。
・心は自分自身が観えなくさせる考えを作り出す事もあるし、それを超えることができるのも心。逆転の発想で考える。
2ー11
5つの苦悩の原因で混乱した考えは、見極めの瞑想によって取り除きます。
・苦悩は取り除こうとする意志で取り除くことができる。何もしなければ、生まれたときから備わる恐れや無知は取り除かれることはない。
2ー12
5つの苦悩の原因は、過去のカルマの結果です。
カルマの結果は今生か来生で経験する。
・お互いに過去から持ち越した課題を消化するために、会う必要のある人と会い、起こるべき出来事に遭遇する。
2ー13
苦悩の原因がある時、1輪廻、2寿命、3経験が現れます。
・苦悩の原因は自我意識であり自分ではないことを知らない時、この3つを続ける。
2ー14
人生で起こることはカルマの結果で、喜びはプンニャ(徳の高い行い)、苦痛はアプンニャ(不徳な行い)が原因です。
・未来にラッキーを起こしたければ今徳の高い行いをする。
2ー15
3つのグナ(質)の変化による苦痛という記憶が、苦悩の原因となります。
賢者は今の心地良さもやがて苦悩の原因となることを知っています。
・変わる体験や物を求めることに夢中になることはない。
2ー16
まだ現れていない未来のドゥッカ(苦痛)は避けることができます。
・何が起きても動じない強さを日頃から用意しとく。起こっていることをそのまま受け止める。
2ー17
本当の自分と自分ではない物を混同することが苦悩の原因です。
・混同すると老いや病気で起こる体の苦しさが自分の苦しさになる。
2ー18
サットヴァ(純正)・ラジャス(動質)・タマス(鈍質)の3つの質で成り立ち、五感で体験できるものは、ドゥルシャ(観られる物)であり、経験のためにあり、悟りに至るためにある。
・体・心は私達を悩ませながら学びを得るための大事な道具。
2ー19
ドゥルシャ(観られる物)はヴィシェーシャ(16の物質)、アヴィシェーシャ(物質になる前の潜在、6つの僅かな要素)、リンガマートラ(物質になる寸前の状態)、アリンガーニ(潜在的な状態)に分かれます。
形ある状態でも、潜在的な状態でも物は純正(サットヴァ)、動質(ラジャス)、鈍質(タマス)という3つの質が常に変化しています。
2ー20
見る物は意識の源であり変化しない存在である。
心に影響を受けず見る存在。
・体が汚れても考えが乱れても自分自身(ドラシュター)は変わらない。
2ー21
変わる物はそれを見る存在(ドラシュター)の為にある。
・物が世界にある理由は生きる存在が経験を積むためにある。
家はそこに住む人の為にある。
2ー22
自分の真実を知った人は苦悩の繰り返しが終わります。一方、自分の真実を知らない人は苦悩が巡り続けます。
・自分の真実とは無限の自由であると知ること。
2ー23
自分が使う道具(体・心・感覚)と自分自身を混乱することは、無知による混乱(サンヨーガ)です。
・観る者(ドラシュター)と観られる者(ドゥルシャ)を混同することで苦しみが生じる。
2ー24
混乱の原因は無知にある。
・そこに揺るがずにいれば心や考えに巻き込まれることはない。
2ー25
無知と混乱がなくなる時、苦悩の連続は無くなり、完全な存在(カイヴァリア)となる。
・自分自身にとどまることをカイヴァリアという。
2ー26
真実を見極め、理解することが無知・混乱をなくし、苦悩を解放する方法です。
・様々な心模様を映す空のような存在が自分自身の存在。
2ー27
苦悩から自由になるまで7つの段階があります。
・1苦悩を取り除きたいと望むこと。
2どう取り除くのか分析すること
3深く考え瞑想すること
4瞑想し、更に理解を深めること
5理解を実感すること
6揺るがない理解がいつも自分の中心に輝いていること
7自分自身に完全に目覚めていること
2ー28
8つからなるヨガを聖典の教えに忠実に続けると、5つの苦悩が消え、真実を理解し光が輝くでしょう。
・自分を律する生き方によってセルフイメージが高まり、正しいことを語り、強く自信に満ちた行いが確立する。
2ー29
①ヤマ(気をつけるべきこと)
②二ヤマ(するべきこと)
③アーサナ(座法)
④プラーナヤーマ(呼吸法)
⑤プラッティヤーハーラ(感覚をおさめる)
⑥ダーラナー(集中)
⑦ディヤーナン(瞑想)
⑧サマーディ(瞑想状態)
この8つがアシュタンガヨーガ(8つの枝からなるヨガ)です。
・何を考え何を食べ何を語りどう生き何をし何を目指すのか、生きるゴールを見据える方法がアシュタンガヨーガ。
2ー30 ヤマ
1アヒンサー(暴力的な言動を慎む)
2サッティヤ(嘘をつかない)
3アスティーヤ(盗まない)
4ブランマチャルヤ(規律正しい生活、欲にまみれない)
5アパリグラハ(溜め込まない)
この5つがヤマです。
・誰もがつい陥りそうな習慣を見直すための練習。
2ー31
どんな生き物に対しても、どんな場所でも、どんな時も、どんな状況でも、5つを守ることを世界に誓い、実践することがヤマです。
・守れなかったとしても諦めずし続ける。
1つの誓いを12年守ると結果がでる。
2ー32 二ヤマ
1シャウチ(心身の浄化)
2サントーシャ(自分に与えられたことに満足する)
3タパス(自分を律する修行をする)
4ソヴァーディヤーヤ(自分について学ぶ)
5イーシュヴァラプラニダーナ(自然の摂理を理解し委ねる)
この5つがニヤマです。
・早起きしてやるべきことを淡々と重ねる。
2ー33
教えと反対の衝動が起こった時は逆転の発想と行動で乗り越えましょう。
・心が暴れそうな時は怒りが消えるまで何度でも逆転の発想を試す。
2ー34
ヨガを邪魔するのは、ヤマ・二ヤマと逆の発想です。
自分が暴力をふるうことも、誰かにさせることも、黙って見ている事も、逆の衝動に突き動かされています。
それは多かれ少なかれ衝動に心が影響を受け、無知に導かれ、想像もしないような結末を迎えてしまうことがあります。
それらを逆転の発想で乗り越えることができます。
2ー35 アヒンサー
非暴力が習慣になると、周りの人々は敵意を失います。
・その人の強さ、大きさ、優しさに影響を受け、周りにいる人の心が和らぎ、明るい気持ちになってしまう。
2ー36 サッティヤ
嘘を言わないことが自然な習慣になった時、行いの結果が発言通りになります。
・12年続けると、その人の言う事が全て現実になる。まだ起こっていない未来について語ること全てが真実になる。
2ー37 アスティーヤ
アスティーヤ(盗まないこと)が習慣になった時、全ての宝を手に入れることができます。
・自然の法則に任せ、来る者、去る物はそのままに、執着することなく、あるがままにしておくことは、物との関係から自由になる秘訣です。
2ー38 ブランマチャルタ
規律正しい生活ができるようになった時、精神的な強さを手にします。
・規律正しい生活がヨガの基礎力を作る。
2ー39 アパリグラハ
執着がなくなると、なぜこの体になったのか?その理由や過去と未来の繋がりを理解します。
・執着がなくなると物や人と調和の取れた関係を築くことができる。
2ー40 シャウチ
体の清潔さを保っていると、自分の体の嫌悪や執着もなくなります。
・道具を扱うように心・体・感覚を使ったらメンテナンスすることで、より使いやすく馴染む。
2ー41 シャウチ
心と体の浄化により心にゆとりが生まれ、心を定めることができ、感覚に流されなくなり、真実を知る力が身に付きます。
・心が揺れる度に連れ戻すことを繰り返す練習で心を定めることができる。
2ー42 サントーシャ
与えられたものを受け入れ満足することで、比べることのできない幸せを得ることができます。
・困難な課題こそ今より大きく成長するための学びが詰まっている。
2ー43 タパス
自己規律に生きることで過去の不徳を浄化し、体と感覚を意のままに使えるようになります。
・日常生活の中で、無理せず、やるべき事から逃げず、規律正しく生きることが自己規律です。
2ー44 ソヴァーディヤーヤ
自分の真実を学ぶことで、心をゆだねる存在と繋がっていることを理解します。
2ー45 イーシュヴァラプラニダーナ
自然の摂理を理解し委ねることで、深い瞑想状態に達します。
・問題や苦悩を完全に手放せる存在に委ねることができる時、心は静かに安らぎます。
2ー46 アーサナ
安定して快適な姿勢がアーサナ(ヨガの座法)です。
・体を忘れるほど安定して快適に48分座り続けることができたらアーサナシッディ(アーサナを達成した人)と呼ばれる。
・背筋が地面から垂直に立っていれば瞑想は可能。
2ー47 アーサナ
体の安定は意図的にリラックスすることにより、快適さは瞑想で限りないものと繋がりを感じることにより達成できます。
・海、空、光、風など、無限に広がるようなものに心を繋げる。
2ー48 アーサナ
それにより両極端なものに悩まなくなります。
・瞑想を深めることにより、肉体を囲む環境に影響されず心穏やかに座ることができる。
2ー49 プラーナーヤーマ
安定した姿勢で座れるようになった時、息を吸うこと吐くことが自然に静まります。それがプラーナヤーマ(呼吸を整えること)です。
・生き物の体には、呼吸し、血液を動かし、食べ物を消化、吸収し、要らない物を排泄するという生命力プラーナが流れています。生命力のバランスを取ってコントロールすることがプラーナヤーマです。
2ー50 プラーナーヤーマ
吐く吸う止めるという呼吸の活動が、場所、長さ、回数によって穏やかになると、静寂に至りやすくなります。
2ー51 プラーナーヤーマ
吐くこと吸うことが努力なく自然にスムーズに行われていること、これがチャトゥルタ(完成された呼吸)です。
・呼吸は息を吐く、吸う、止めるの3つの側面があるが、4つ目がチャトゥルタ。呼吸は瞑想をするための必要な準備。
2ー52 プラーナーヤーマ
その時、知性の働きを覆い隠すタマス(鈍性)が取り除かれます。
2ー53 プラーナーヤーマ
そして呼吸の落ち着きによって瞑想にふさわしい心の準備ができます。
・ヤマニヤマでヨガに取り組む基礎が整い、アーサナとプラーナヤーマで体の準備が整い、集中と瞑想で内なる心の準備ができる。そうやって静かに自己と向き合う時間を重ね続けることで、自分自身の真実を理解することができる。
2ー54 プラッティヤーハーラ
根源の存在に収まり、五感で感じる感覚と対象物に引きずられないことをプラッティヤハーラといいます。
・感覚は馬車の馬。道端の草花にフラフラと惹きつけられない。
2ー55
プラッティヤハーラ(感覚に引きずられない)の練習によって、感覚を意思で収めることができるようになります。
・感覚を律して必要な物だけを持ち、情報に動かされず、毎日注意深く生きることがプラッティヤハーラの練習です。
感覚の動きを意識して、自分の考えと行動を変えることが心を収めるトレーニングになる。