挙手下ろし。


今日は教室の皆で居合刀の買物に行ってヨガに行けなかったので、ヨガの本でも読もうとカフェに入ってコーヒーを注文した。

「アイスコーヒー氷なしで。」と言うと、店員さんが「アイスコーヒー氷なきですね。」と言った。

氷なきアイスコーヒー、格好良くて笑ってしまった。

奥に向かって「アイスコーヒー氷抜き」と言った。

氷なしと氷ぬきが混ざって氷なきアイスコーヒーになってしまったようだ。

春の日も氷なきけりアイスコーヒー。

私が着物を着ていたことも店員さんの心理に影響を与えたのかもしれない。

店員さんも氷なきアイスコーヒーに恥ずかしそうにずっと下を向いて会計をしているが、私はずっと店員さんの顔を見て恥ずかしめを与えた。

小さな事だが、最近漫画みたいなことがよく起こる。

粗大ゴミを出してマンションに戻ろうとしたら、鍵を持たずに出てしまい入れない。

普通のゴミはマンションの中なので鍵を持たなくても問題ないが、粗大ゴミは外なので鍵を持ってないと入れない。

そういう笑い話を聞いたことがあったが、ほんとの話とは思わなかった。

マンションの住人が来るのを暫く待っていたが、平日の昼間で全然誰も来ない。

こうなったら塀でもよじ登って中に入ろうと思ったが、パッと見てそういう場所もない。

マンションの周りを回ってどこか入れそうなとこがないかと探すと、一箇所3メートル位の塀があって、そこを登れば入れそうだ。

かなり高いが登れないことはない。

ただ人に見られると恥ずかしい。

誰かに動画を撮られて袴の男が塀をよじ登っているとユーチューブに上げられる可能性もある。

戦が始まるのか!とアップされてしまう。

泥棒と思われて通報されて警察が来る可能性もある。

鍵を忘れたと言えば問題ないだろうが、恥ずかしい。

でもこのまま待ってても誰も来ないのでしょうがなく塀を登ることにした。

なかなかの高さだったが、楽しかった。

また別の日、バイクの洗車が終わってエレベーターに乗ろうとしたら、エレベーターの点検でエレベーターが使えない。

10回まで階段で登ることになった。

ちゃんと張り紙もしていて読んでもいたが、まさかだった。

で、先週の火曜日の稽古の最中から急に歯が痛みだして、我慢してたが次の日の朝起きてもまだ結構痛い。

品川に住んでた時から長年お世話になっている行きつけの歯医者に、「歯が痛いので今日診てもらえませんか?」と電話をしたら今日はいっぱいで月曜日なら空いていると言われた。

今痛いと言っているのに5日後に診ますって、もう2度と行かねえと思った。

近所の歯医者に電話をすると、すぐ診てくれるというので速攻で行った。

私がとにかく痛いというので、1回1錠の痛み止めを2錠飲ませていただいてから治療をしてくれた。

治療が終わって、誇らしい顔で「また痛みが出るようでしたらまた来てください。」と言われたが、いや今も痛い。治療中もずっと痛かった。痛み止めが効いていない。
その誇らしい顔を取り消してくれ。

その歯医者を出ると、速攻で次の歯医者に電話をして次の日に行くことにした。

次の日、歯の痛みで目が覚めた。
歯医者へ行って、とにかく痛いと伝えた。

医者が言うには、以前治療をしたところが完全に治療できてなくて痛みが出てるようだ。

詰め物を取って奥を治療するということで、麻酔を2本打ってもらうことになった。

暫くすると左舌と左下唇がしびれてきた。
麻酔が効いているということで治療を始めたが痛い。痛い、痛い。

「痛かったら手を上げて下さい。」と言うのですぐ手を上げた。

生まれて始めて歯医者で手を上げた。

美容室の痒いところと同じで、痛くても手を上げることはないものだと思っていたが、迷わずキレよく手を上げた。

手を上げると一旦治療をやめてくれるが、暫くするとまた始まる。

痛いので手を上げる。

一瞬やめてくれるが、また始まる。

また手を上げる。

これ結局手を上げる意味がないじゃないか。

痛くないようにやってくれるわけじゃなくて、一瞬やめてくれるだけじゃないか。
考えたらまあそうなのだろうが。

また治療を始めるので、また手を上げた。

治療をやめてくれたが、今度は上げた手を下ろさずに上げっぱなしにしていた。

衛生士さんにそっと手を下ろされた。

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