カテゴリ:五輪書

五輪書 水の巻15

ー 二のこしの拍子のこと

「二のこしの拍子」は、こちらが打ち出そうとするより速く、敵がさっと身を引いて、素早く打ちかかってくるケースでの対応である。
そういう時は、こちらから打ちかかっていくと見せかけ、敵が緊張した直後に生まれるわずかな気の緩みを狙い打つか、敵が身を引いてホッとしたところを打つことだ。
その二つが「二のこしの拍子」という技である。

これだけの説明では、実際に打つことは難しいだろうが、きちんとした手ほどきを受けさえすれば、たちまち合点がいくはずだ。

五輪書 水の巻14

ー 敵を打つときの一拍子の打ちのこと

敵を討つ拍子に「一拍子」というのがある。

切っ先が相手の体に届くほどの近距離で対決したら、相手の心の準備が整う前に、こちらは体を動かすそぶりを見せず、顔色一つ変えることもなく、刀だけを目にも留まらぬ速さで動かして敵を打つ拍子のことである。
敵が刀を引こう、はずそう、打とうなどと思案する前に、いきなり先制攻撃を仕掛ける拍子、これが「一拍子」である。

この拍子をよく習い覚えて、間合いの拍子を素早く打つ技を鍛錬せよ。

五輪書 水の巻13

ー有構無構の教えのこと

「有構無構」とは、「構えは、あってないようなもの」という意味である。
そうは言うものの、実際には五方向のいずれかの位置に刀を置くのだから、構えているとも言える。
敵の出方、戦う場所、戦況の変化に応じて、相手を斬り倒しやすいように構えることが重要である。
上段に構えても、戦闘状況が変わって構える位置が少し下がれば中段になるし、左右の構えも中段や下段となる。
そんなわけで我が二天一流の兵法では、「構えはあって、構えは無し」と言うのである。

いずれにしろ、ひとたび刀を手に取るからには、敵を斬るということが目的となる。
戦いの中で、敵が斬りつけてくる刀を受ける、叩く、接触するといった個々の動きにその都度心を惑わされていると、敵を叩き斬ろうとする気持ちが希薄になってしまう。
そうした動きは、全て敵を斬るきっかけであると考えて戦わないと勝てない。
大きな合戦における軍勢の布陣も構えである。どんな布陣も合戦で勝利するための手だてなのだ。

心すべきは、「居つくなということである。」

五輪書 水の巻12

ー 表第五の次第のこと

「第五の構え」の心得は、刀を右脇に横向きに構え、敵が打ちかかってくるところを、下から斜め上方に振り上げて、真っすぐに斬り下げるのである。
これも、敵の太刀筋をよく知ろうとして行う手だ。
この構えで振り慣れたら、重い刀でも自由に振ることができるようになる。
以上の「五つの表」は、こまごまと説明すべきものではない。

我が二天一流の刀の使い方を一通り理解し、だいたいの拍子も覚え、敵の太刀筋を見分けられるようにするには、まずこの五つの基本の技を日頃から磨くことが肝要だ。
敵との実戦でも、この太刀筋に熟練して敵の心理をよく読み、様々な拍子が察知できれば、いかようにも勝てるようになる。よく研究せよ。

五輪書 水の巻11

ー 表第四の次第のこと

「第四の構え」は、左脇に刀を横向きに構えて、打ちかかってくる敵の手を下からはじき返すように打つのが特徴である。
下から叩いたこちらの刀を敵が打ち落とそうとしたら、その手をはじき返すような感じで敵の刀を受け、自分の肩の方向へ斜めに斬りかかることだ。
こうした流れるような一連の動きが、我が二天一流の太刀遣いなのである。
同様に、敵が打ちかかってきたときも、その太刀筋を受けて勝つことができる。
じっくりと吟味するように。

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