




ー有構無構の教えのこと
「有構無構」とは、「構えは、あってないようなもの」という意味である。
そうは言うものの、実際には五方向のいずれかの位置に刀を置くのだから、構えているとも言える。
敵の出方、戦う場所、戦況の変化に応じて、相手を斬り倒しやすいように構えることが重要である。
上段に構えても、戦闘状況が変わって構える位置が少し下がれば中段になるし、左右の構えも中段や下段となる。
そんなわけで我が二天一流の兵法では、「構えはあって、構えは無し」と言うのである。
いずれにしろ、ひとたび刀を手に取るからには、敵を斬るということが目的となる。
戦いの中で、敵が斬りつけてくる刀を受ける、叩く、接触するといった個々の動きにその都度心を惑わされていると、敵を叩き斬ろうとする気持ちが希薄になってしまう。
そうした動きは、全て敵を斬るきっかけであると考えて戦わないと勝てない。
大きな合戦における軍勢の布陣も構えである。どんな布陣も合戦で勝利するための手だてなのだ。
心すべきは、「居つくなということである。」


ー 表第五の次第のこと
「第五の構え」の心得は、刀を右脇に横向きに構え、敵が打ちかかってくるところを、下から斜め上方に振り上げて、真っすぐに斬り下げるのである。
これも、敵の太刀筋をよく知ろうとして行う手だ。
この構えで振り慣れたら、重い刀でも自由に振ることができるようになる。
以上の「五つの表」は、こまごまと説明すべきものではない。
我が二天一流の刀の使い方を一通り理解し、だいたいの拍子も覚え、敵の太刀筋を見分けられるようにするには、まずこの五つの基本の技を日頃から磨くことが肝要だ。
敵との実戦でも、この太刀筋に熟練して敵の心理をよく読み、様々な拍子が察知できれば、いかようにも勝てるようになる。よく研究せよ。


