カテゴリ:五輪書

五輪書 水の巻10

ー 表題三の次第のこと

「第三の構え」は、刀を下段にひっさげた感じに持ち、敵が打ちかかってくる刹那、下からその手を叩くのである。
すると、敵がまたそれを打ち落とそうと狙ってくるので、叩いた個所はひとまずおいておき、そこよりももっと効果的と思える次の個所を狙い打ち、さらに二の腕を横に斬りにいくのである。
そして敵が打ちかかってくるところを、下段で一気に打ちとめるのだ。

下段の構えは、太刀筋の修練を積んでいくと、初心の頃にも熟達してからも、よく出会うものである。
実際に刀をとっての鍛錬あるのみだ。

五輪書 水の巻9

ー 表題二の次第のこと

「第二の構え」は、刀を上段に構え、敵が打ちかかってくるところを、左右の刀で同時に打つ手法である。
もし打ち外してしまったら、刀はそのままにしておき、敵が再び打ちかかってきたら、下からすくい上げて打つのである。
もう一度打つ場合も、同じ要領だ。

この「表」の基本型には、様々な心の持ち方や色々な拍子(呼吸、リズム、タイミング)が含まれている。
それらを理解し、我が二天一流の鍛錬を積めば、「五つの太刀筋」を熟知することができ、どのようにも勝てるようになるはずだ。

五輪書 水の巻8

ー 五つの表の次第、第一のこと

「第一の構え」は、中段の構えである。

太刀先を敵の顔に向けて相対したときは、敵が打ちかかってきたらその刀を右に払って切っ先をはぐらかし、ふたたび敵が打ちかかってきたらこちらの切っ先を返して打つのである。
打ち下ろした刀はそのままの状態にしておいて、更に敵が打ちかかってきたら下から敵の手を叩きにいく。
これが第一の基本である。

こうしたことは、「五つの基本」として文章に表したものを読むだけでは理解できまい。
五つの基本を習得するには、実際に刀を手に取って稽古するしかないのである。

この五つの太刀筋の基本を体得すれば、我が二天一流の兵法の道を知ることができ、敵がどのような太刀筋で打ってくるかも次第に読めるようになる。

「我が二天一流の構えは、五つ以外にない」と教えるゆえんである。鍛錬せよ。

五輪書 水の巻7

ー 太刀の道ということ

太刀の道とは刀の通る道筋のことで、「太刀筋」と呼んでいるが、この道を知ることはとても大事である。
いつも腰に差してる自分の刀を、もし仮に二本の指で振るにしても、刀身がどういう軌道を描くかということをよく知っていれば、自由自在に振ることができる。
だが、刀を早く振ろうとして力むと、刀本来の道筋に逆らう力が働き、太刀筋が狂って、かえって振りにくくなる。
そのやり方では人は斬れないのである。
刀を使うときは、振りやすいと思える程度の自然な力で、静かに振ろうとする気持ちが大切である。
刀を打ち下ろしたら上げやすいところへと戻し、横に振ったら横に戻し、肘はできるだけぐっと伸ばして強く振る ー これが太刀遣いの基本である。

我が二天一流の兵法の構えである「五つの表」と呼ぶ五種類の基本型を習い覚えると、太刀筋が定まってきて振りやすくなるはずだ。心して鍛錬せよ。

五輪書 水の巻6

ー 五方の構えのこと

「五方の構え」とは、刀を「上段」「中段」「下段」「右の脇」「左の脇」に構える事をいう。
構え方は五つに分かれているが、その目的はいずれも人を斬るためであり、これら以外の構えはない。
どの構えも、「構えていると意識せずに人を斬ることだ」と心得よ。

構えは、その場その場で有利と思うものにすればいい。
上段・中段・下段の構えは本構えという。
右とか左とかの構えは、上方がつかえていたり、右か左かどちらかの脇がふさがっているような場所などで用いる構え方である。

武芸の伝統的な奥義では、「最善の構えは中段にありと心得よ」としている。
我が二天一流の兵法の兵法においても、中段が「構えの神髄」である。

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