暇つぶしブログ『椅子取りゲーム』


私が30歳を過ぎてた頃だと思う。

久しぶりに沖縄に帰ると、友人たちが集まってくれた。

いつも通り楽しく過ごし、帰り際に、明日は何をする予定なの?と聞かれて、特に決まってないと答えると、それならキリ短祭へ行こうとなった。

明日はキリスト教短期大学の学園祭があるようだ。

綺麗な女の子が沢山いるという噂の大学だ。

ということで3人でキリ短祭へ行くことになった。

翌日、夕方6時に、私の中で一番オシャレな花柄のシャツと、白いズボンをはいてキリ短へ向かった。

キリ短祭に来る人達は多分みんな二十歳ぐらいだ。

できるだけ若く爽やかに見せなければならない。

6時過ぎに友人一人が来た。

私はえっ!?と言葉を失った。

作業着で来た・・・。

こいつ作業着で来た・・・・。

なんで・・・・・?

なんでお前作業着で来たの?と言うと、

「会社帰りだから」

いや、そういうことじゃなくて、女の子と出会いがあるかもしれないというのに、なんで作業着で来るんだ。

お前が明日キリ短行こうと言うから、そういうことだと思っていたのだが、お前は教会でお祈りをするつもりで私を誘ったのか。いや、それならそれで作業着じゃないだろ。

「作業着だけど、今日は事務仕事だったから全然汚れてないよ!」

そういうことじゃねえんだよ!

私は少しテンションが下がったが、しょうがないので2人でもう1人の友達を待っていた。

暫く待っていると、私は驚きの光景を目にした!

もう1人も作業着で来た~~~!

作業着を着たおじさんがこっちに向って歩いてくる~~~!

何か笑ってる~~~!

しかもこいつは、本当に現場で作業をしてきた作業着だ!

勘弁してくれ。

なんかこれ、私の方がおかしく見えるんじゃないか。

1人目が来たときはテンションが下がったが、まさかのダブルになると、なんかどうでもよくなってきた。

私たちは何か面白いものはないかと校内を散策していると、「スナックキリ短」というのを目にした。

女の子とゲームをして、勝ったら電話番号をゲットできるというものだった。

これは面白そうだと早速入ってみた。

ゲームというのが、店側の女性10名と男性10名で椅子取りゲームをして、男性が勝った場合、好みの女の子の電話番号を聞けるというものだった。

私たちは3名だったので、男性が10名集ってから始めるということで暫く待っていたが、すぐに集まり、男女合計20名の椅子取りゲームが始まった。

20名から最初は2名ずつ脱落していった。

男性陣は初対面ということもあるし、あまり本気だと女子から引かれてしまいそうということもあってか、椅子を譲り合う場面なんかも見られて、なんかほのぼのした雰囲気だった。

そんなこともあって他の男性陣は結構早めに脱落したが、電話番号が聞けるということで私たち3人は本気だった。

最初は目立たなかったが、だんだん人数が少なくなると、楽しくキャッキャ椅子取りゲームを楽しんでいる中で、おじさん3人だけが本気になっているという絵が目立ってきた。

残り5人となったときは、私たち3人と男性1人と女性1人になった。

男性1人は爽やかイケメン風で、笑顔でいながら結構本気なようで、なかなか素早い。

この時点で恐らく、女子全員が爽やかイケメンを応援していたと思う。

再びゲームが始まると、女子が脱落し、残りはおじさん3人と、爽やかイケメン1人。

しかもおじさん2人は作業着。もう1人は花柄。

絶対全員が爽やかイケメンを応援している。

再び音楽が鳴り、そして止まると、友人一人が脱落してしまった。

イケメン男子はかなり素早い。

再び音楽が鳴り、そして止まると、更に友人が脱落してしまった。

私とイケメン男子の1対1となった。

その時点で私は分かっていた。

次の音楽はイケメン男子に有利に止まる。

それならそれで、こっちも対抗させてもらいますと思ってた。

最後の音楽が鳴り、そしてやはりイケメン男子有利に音楽が止まった。

イケメン男子は素早く座りにいったが、私は分かっていたので余裕があった。

イケメン男子が椅子に座ろうとした瞬間、私はその椅子を引いた。

するとイケメン男子はおもいっきり後ろにひっくり返った。

私はゆっくり椅子に座り、スタンハンセンの真似をして「ウィ~」とやった。

静寂に包まれた。

全員引いている。

友人は笑っているかと思ったが、友人も引いている。

私は気にしていないふりをして、強引に優勝したことを喜んでいた。

反則と言われたら音楽に不正があったと言おうと思っていたが、何事もなく私が優勝ということになった。

約束通り、好みの女の子の電話番号を聞ける。

女子が一列に並び、私は教室の一番前に立って、女子をじろじろ眺める。

女子は全員真下を向いている。

暫く見回して、

「決めた!」

と言った。

女子全員が更に顔を下に向けた。

そして、

「いない!好みの女の子はいない!!」

「おまえら帰るぞっ!」

と言って教室を後にした。

生まれて初めて背中に視線が突き刺さったのを感じた。

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