


ー 太刀の道ということ
太刀の道とは刀の通る道筋のことで、「太刀筋」と呼んでいるが、この道を知ることはとても大事である。
いつも腰に差してる自分の刀を、もし仮に二本の指で振るにしても、刀身がどういう軌道を描くかということをよく知っていれば、自由自在に振ることができる。
だが、刀を早く振ろうとして力むと、刀本来の道筋に逆らう力が働き、太刀筋が狂って、かえって振りにくくなる。
そのやり方では人は斬れないのである。
刀を使うときは、振りやすいと思える程度の自然な力で、静かに振ろうとする気持ちが大切である。
刀を打ち下ろしたら上げやすいところへと戻し、横に振ったら横に戻し、肘はできるだけぐっと伸ばして強く振る ー これが太刀遣いの基本である。
我が二天一流の兵法の構えである「五つの表」と呼ぶ五種類の基本型を習い覚えると、太刀筋が定まってきて振りやすくなるはずだ。心して鍛錬せよ。


ー 五方の構えのこと
「五方の構え」とは、刀を「上段」「中段」「下段」「右の脇」「左の脇」に構える事をいう。
構え方は五つに分かれているが、その目的はいずれも人を斬るためであり、これら以外の構えはない。
どの構えも、「構えていると意識せずに人を斬ることだ」と心得よ。
構えは、その場その場で有利と思うものにすればいい。
上段・中段・下段の構えは本構えという。
右とか左とかの構えは、上方がつかえていたり、右か左かどちらかの脇がふさがっているような場所などで用いる構え方である。
武芸の伝統的な奥義では、「最善の構えは中段にありと心得よ」としている。
我が二天一流の兵法の兵法においても、中段が「構えの神髄」である。




ー 刀の持ち方のこと
「刀の持ち方」は、親指と人差し指を心持浮かすようにして、中指は締めもせず緩めもせず、薬指と小指で締めるようにして握るのである。
ただしその時、手の中に緩みを感じる握り方は良くない。
刀を手にするときは、「敵を斬るためだ」と強く念じることだ。
実際に敵を斬る時は、手の内に違和感がなく、手がすくまないような握り方をしなければならない。
戦闘で敵の刀を打ったり、受けたり、押さえつけたりする場面があっても、刀の握りは、親指と人差し指だけを少し変えるくらいもつもりで、しかし気持ちの方は、「是が非でも相手を斬り倒す」と強く思いながら刀を手にしていないといけない。
試し斬りを行うときも、真剣勝負の時も、人を斬るという点には変わりはない。
どんな場合でも、刀や手が固着して動かないような状態はさけなければならない。
固着は「死に手」だが、固着しなければ「活き手」となる。
この違いの重要さをよく心得てもらいたい。
