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五輪書 水の巻6

ー 五方の構えのこと

「五方の構え」とは、刀を「上段」「中段」「下段」「右の脇」「左の脇」に構える事をいう。
構え方は五つに分かれているが、その目的はいずれも人を斬るためであり、これら以外の構えはない。
どの構えも、「構えていると意識せずに人を斬ることだ」と心得よ。

構えは、その場その場で有利と思うものにすればいい。
上段・中段・下段の構えは本構えという。
右とか左とかの構えは、上方がつかえていたり、右か左かどちらかの脇がふさがっているような場所などで用いる構え方である。

武芸の伝統的な奥義では、「最善の構えは中段にありと心得よ」としている。
我が二天一流の兵法の兵法においても、中段が「構えの神髄」である。

五輪書 水の巻5

ー 足遣いのこと

「足の運び方」は、爪先を少し浮かし、踵で足場を強く踏むことだ。
足の使い方は、そのときそのときで、大きいか小さいか、遅いか速いかといった違いはあっても、「普段の歩みのように自然に」が鉄則である。

飛ぶような足、浮き上がった足、踏み固めた足の三つは、良くない足運びである。
足遣いでは、「陰陽の足」ということが大事とされている。
陰陽の足とは、片足だけを動かさない事をいう。
斬る時も、退くときも、敵の刀を受ける時も、右・左・右・左と規則的に足を運ぶやり方である。
くれぐれも、片足だけを動かすことのないよう、肝に銘じてもらいたい。

五輪書 水の巻4

ー 刀の持ち方のこと

「刀の持ち方」は、親指と人差し指を心持浮かすようにして、中指は締めもせず緩めもせず、薬指と小指で締めるようにして握るのである。
ただしその時、手の中に緩みを感じる握り方は良くない。
刀を手にするときは、「敵を斬るためだ」と強く念じることだ。
実際に敵を斬る時は、手の内に違和感がなく、手がすくまないような握り方をしなければならない。
戦闘で敵の刀を打ったり、受けたり、押さえつけたりする場面があっても、刀の握りは、親指と人差し指だけを少し変えるくらいもつもりで、しかし気持ちの方は、「是が非でも相手を斬り倒す」と強く思いながら刀を手にしていないといけない。

試し斬りを行うときも、真剣勝負の時も、人を斬るという点には変わりはない。
どんな場合でも、刀や手が固着して動かないような状態はさけなければならない。
固着は「死に手」だが、固着しなければ「活き手」となる。
この違いの重要さをよく心得てもらいたい。

五輪書 水の巻3

ー 兵法の目付ということ

「目付」とは、「目のつけよう」の意味で、「目配り」のことだ。
目配りは、大きく広い視野で行うのがコツである。
目配りには、目で眺める「見」と心で見る「観」の二種類がある。
「観」は強く、「見」は弱い。

遠方のものは、近くにたぐり寄せるようにして見ることでその本質を見抜き、近くのものは、逆に遠くから眺めるようにして大局的に判断することが大切なのだ。
「敵の太刀を知り、いささかも敵の太刀を見ず」という考え方が兵法では大事である。
これは、敵の太刀のうわべの動きに幻惑されることなく、敵の真の太刀筋を読めという意味である。
そうした目配りは、一対一の勝負でも大勢が激突する合戦でも必須である。
その際、眼球を動かさずに両脇を視野に入れられるかどうかが問われる。

目配りは、忙しい中で早急に身に付けることは難しい。
日頃から目付をする練習に励み、いかなる場面でも、目付が変わらないように鍛錬することだ。

五輪書 水の巻2

ー 兵法の身なりのこと

我が二天一流の兵法が求める姿勢は、以下のようであるべきだ。

顔はうつむかず、あおむかず、傾けず、歪めず、額にはしわを寄せず、眉の間にしわを刻んで、眼球を動かさないようにし、瞬きをしないように心掛けて、目は少し細めるようにし、穏やかな顔つきで、鼻筋を真っすぐにして下顎をやや突き出す感じにする。
首は後ろの筋を真っすぐにして、うなじに力を入れ、肩から下は全身が一体になっているように感じられるようにし、両肩を下げ、背筋をまっすぐにして、尻は出さず、膝から足先まで力を入れ、腰がかがまないように腹を出すのである。

我が二天一流の兵法では、平常の身のこなしを戦いの時の身のこなしとしている。
つまり、戦いの時の体の動かし方は、平常と同じようにするのがベストなのである。

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